ニキビ治療における耐性菌問題と治療の進歩
こんにちは。一角です。
本日、東京でニキビの勉強会に出席してきました。
ニキビ(尋常性ざ瘡)は、
毛包の角化異常(により毛穴がつまる)・ 皮脂の分泌亢進 +アクネ菌の関与
による慢性炎症性疾患です。
このようにニキビは必ずしもアクネ菌を抑えるだけで治療できる疾患ではありません。つまり、ニキビは感染症としての側面も持ちますが、感染を抑えるだけでは治療することはできません。
不適切に抗生物質を使用し続けると耐性菌が増加します。
日本でも耐性菌が増加傾向にありますが、スペインでは90%が耐性菌となり、抗生物質によるニキビ治療はほぼ無効なようです。
日本でもニキビに対する過剰な抗生物質の使用を控え、適切な薬剤を選択してニキビを抑えていくことが皮膚科医にとって重要です。
ニキビ治療の中心は外用薬ですが、近年、新規外用薬が次々と日本でも使用可能になり、従来の抗生物質に頼ったニキビ治療から飛躍的に治療法が進歩しています。今年にはニキビ治療のガイドラインが改定されました。
耐性菌の出現を抑制し、必要な時に抗菌薬の効果が発揮できる環境を維持するためにも、抗菌外用薬を単独で用いるのではなく、過酸化ベンゾイルを上手に使用していくことが大切です。現時点で過酸化ベンゾイルに対する耐性菌は世界で一例も出現していません。理論上、耐性菌は出現しないようです。
ただし、過酸化ベンゾイルを含む外用薬は、一部の患者さんには強い刺激症状が出現することがあるため、使い始めは狭い範囲から塗ってみて、症状が出なければ塗る範囲を広げていくような工夫が必要です。
当院には非常に多くのニキビでお悩みの患者さんが来院されていますが、私も患者さんの症状から教えていただき、適切な治療を検討しながら、日々の診療に取り組んでいきたいと考えています。